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Okada Atsushi “epitaph”岡田敦「エピタフ 幻の島、ユルリの光跡」

2023 Book / Editorial

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写真家の岡田敦氏の書籍。北海道の東端にある無人島「ユルリ島」で暮らす馬たちをめぐる物語を10年かけて関係者に取材・撮影した記録をまとめている。

カバーには印象的な白馬の瞳を用いて、北海道の寒さを思い起こさせながら、いずれいなくなってしまう馬たちの儚い運命を思わせるデザインにしている。カバーは寸足らずになっていて、中の表紙が布で作られているのが垣間見える。「エピタフ」は墓碑銘を意味する言葉で、そこから著者がインスピレーションを受けたデザインを表紙に落とし込んだ。表紙裏と扉には、ユルリに最初に降り立った馬たちの数を暗示する流れ星のデザインが入っている。糸かがり上製本の形を取っているが、芯材のチップボールを薄い地検紙にすることで柔らかく軽い印象にしている。スピンは白と銀の二本で、最初にユルリに降り立った馬の尻尾を表している。

本文は霧がかった美しい写真とテキストが交互に現れる。写真を美しく見せるための高白色の紙を用いつつ、テキスト部分はコントラストが柔らかく読みやすくなるようにイエローを地にうっすらと敷いている。

帯は霧がかったイメージの用紙を選定し、そこへ滲んだような質感の文字を入れている。

(以下出版社ホームページより引用)

北海道の東端、根室半島の沖合に佇むユルリ島。かつては昆布を採集する漁師の住居や番屋が建っていたが、家畜の馬を残して最後の島民がユルリを離れたのが半世紀前。最盛期には30頭もの馬が暮らしていたが、その数は減り続け、今では数頭が暮らすだけになっている。上陸が厳しく制限されたこの島の情景を2011年から撮り続けているのが写真家・岡田敦。消えてゆくものたちを見つめ、後世に何を伝えてゆくのか。写真と文章で現代のロスト・ワールドを紹介していく。2023年度JRA賞馬事文化賞を受賞。